感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)

カテゴリ:山の危機管理

投稿日:2020/04/22

投稿者:IT

タイトル: 画像:コロナウイルス(引用:国立感染症研究所 ) 画像:コロナウイルス(引用:国立感染症研究所 )

感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)

(*注意*)この記事は感染症流行期の登山を推奨するものではありません。よくお読みになり、感染症発生段階に合わせた、責任ある行動(停滞?)をお願いします。

 

<目次>

1.          はじめに

2.          感染症が広がる原理

3.          感染発生状況の把握

4.          医療、命、健康を守る方法!!

5.          新型コロナウイルスの特性

6.          登山での感染リスクは??

7.          感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)

はじめに

現在、新型コロナウイルスという感染症が流行し

様々な行動抑制、行動変容が求められています。

このように未知の脅威と対峙する時には、「私には関係ない」「私は大丈夫」という超楽観?から、「感染するから一歩も外に出るな」、「感染するから誰とも会うな」という超悲観まで、様々な考え方が出てきます。

感染症の最悪期には超悲観的な考えに合わせた行動が理想ですが、このような状態で長期間生活することは可能でしょうか?少しずつ平時の生活に戻していく、そんな時期が来るはず(各界の専門家の知見と現状分析にもとづいた判断による)です。コロナ前とは少し違った平時に向かって、、、、、。

また私は、地球温暖化、台風、地震、津波から、ゴキブリ、蚊にいたるまで、人間が自然現象をコントロールすることは難しいと考えています。ブラックバス、ブルーギル、アライグマ、ヌートリアなどの外来生物も、いったん侵入を許すと全てを駆除することは困難です。

新型コロナウイルスや他の感染症もそうです。

コントロールが難しい以上

感染症と共存、付き合っていく方法、妥協案を考える必要がある

と考えています。

では、登山というカテゴリにおいて、感染症とどう付き合っていけば良いのでしょうか?

今回は、そんな悩みを解決すべく「感染症流行期における登山ガイドライン(新型コロナウイルス)」を作成しました。繰り返し発生が予想される他の感染症流行期にも応用可能です。登山マニア(ヤマニア)の参考となれば幸いです。

是非、ご一読ください。

感染症が広がる原理

感染症とは

感染症(新型コロナウイルス)は人と人の接触で広がっていくもの

という原理を再確認しておきましょう。

接触機会をゼロに近づけること、つまり

ステイホーム(家にいる)

により感染症を防ぐことができるということです。

感染発生状況の把握

厚生労働省は、新型インフルエンザ対策において「対策の基本方針」という資料の中で、次の表に示される感染症の発生段階を定義しています。

新型インフルエンザ発生段階一覧(厚生労働省)

発生段階

状態

前段階

未発生期

新型インフルエンザは発生していない状態

第一段階

海外発生期

海外で新型インフルエンザが発生した状態

第二段階

国内発生早期

国内で新型インフルエンザが発生した状態

第三段階

感染拡大期

発生患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態

まん延期

入院措置などによる感染拡大防止効果が十分に得られなくなった状態

回復期

ピークを越えたと判断できる状態

第四段階

小康期

患者の発生が減少し低い水準で停滞

次に、2020418日現在の日本国内での新型コロナウイルスの感染状況を確認します。

感染確認:10,561人 重症:211人 死亡:220人 退院:1,657

(注意)クルーズ船の乗客、乗員を含む

(引用:NHK 特設サイト 新型コロナウイルス)

感染者確認が1万人をこえて、日本国内は

「誰が感染しても」、「誰に感染させても」おかしくない状況

で、上記の表の第三段階のどこかにあるといえます。

医療、命、健康を守る方法!!

医療の現状は

・ワクチン、特効薬がない

・感染者急増により医療崩壊の危機に直面

・人々の大半が免疫を持つ(=集団免疫)の状態に至っていない(アメリカ・カリフォルニア州からの疫学調査より)

という不利な状況です。

この状況おいて、医療、命、健康を守るために求められているのが

・人と人との接触機会を「最低7割、極力8割削減」する

・社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)を保つ(=人との距離を2m以上取る)

・3密(密閉空間、密集場所、密接会話)を避ける

・手指消毒、マスク着用、咳エチケットなどを励行して衛生管理を徹底する

などのルールに合わせた、私達一人一人の行動抑制、行動変容です。すなわち

「病原体(新型コロナウイルス)は人が運ぶ」という意識を持ち、感染を広げぬよう心がけ、工夫する

ことが求められています。

言葉を変えれば

一人一人の行動抑制、行動変容が感染症(新型コロナウイルス)に対抗する最大の武器

であるということです。

医療従事者の献身的な努力によって支えられている医療現場を崩壊へ向かわせない

ため

個人個人が責任ある行動をとることが肝要

です。

 タイトル: 画像:3密を避けましょう!(引用:首相官邸ホームページ)

画像:3密を避けましょう!(引用:首相官邸ホームページ)

新型コロナウイルスの特性

まだまだ未知の部分が多い新型コロナウイルスですが、感染様式については以下の特徴があると言われています。

(1)飛沫感染
 
感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。
※感染を注意すべき場面:屋内などで、お互いの距離が十分に確保できない状況で一定時間を過ごすとき
(2)接触感染
 
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れると感染者のウイルスが付きます。未感染者がその部分に接触すると感染者のウイルスが未感染者の手に付着し、感染者に直接接触しなくても感染します。
※感染場所の例:電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなど
(3)糞便からの感染
新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者や新型コロナウイルス感染症の患者、濃厚接触者が使用した使用後のトイレは、急性の下痢症状などでトイレが汚れた場合には、次亜塩素酸ナトリウム(市販されている家庭用漂白剤等はこれにあたります、1,000ppm)、またはアルコール(70%)による清拭をすることを推奨します。
(4)空気感染(エアロゾル感染)
閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがあります。
(引用:厚生労働省のホームページ)

「出入り」という観点でまとめると
(1)ウイルスの排出:くしゃみ、咳、つば、糞便、会話(閉鎖空間において近距離で人と会話する等の一定の環境下)

(2)ウイルスの取込み:口、鼻、眼などの粘膜

ということになります。

登山での感染リスクは??

このような状況ですから

・それでも山に登るの??

・たかが遊びでしょ!!

という声が聞こえてきますが、客観的に考えると

・登山という行為自体の感染リスクは低い

・登山による適度な運動は健康を保つのに有用(家にいるだけでは体力、気力、免疫力も低下する)

であり

感染防止に配慮(厳しい制約、条件付き)をすれば、「感染させる」、「感染させない」ということを避けて山登りが可能!?

というのが私の考えです。

(*注意*)この記事は感染症流行期の登山を推奨するものではありません。よくお読みになり、感染症発生段階に合わせた、責任ある行動(停滞?)をお願いします。

以下、「登山における感染リスク一覧表」を示します。

感染リスクは

〇:低感染リスク

△:中感染リスク(条件次第で感染リスクを低減可能)

×:高感染リスク

の3つに分類します。

(注意)中、高感染リスクの行為は避けて登山計画を立てましょう。

登山における感染リスク一覧表

場面

行動

感染リスク

解説

対策

アプローチ(自宅~登山口)での感染リスク

仲間を集め車で乗り合わせて登山口に向かう

×

いわゆる3密の状態になります。

非常に危険です。

乗り合う前に

「咳、鼻水、痰、咽頭痛などの風邪の症状がないか」、「集合直前の検温で37.5度以上の発熱がないか」、「味覚嗅覚に異常がないか」、「倦怠感がないか」

など、新型コロナウイルスを疑う症状がないか確認、疑わしい人は登山を取りやめましょう。

乗り合わせる場合は

「マスク着用」、「走行中は窓を開けて換気よくする」、「人数は2人までとし、前後で斜め向かいに座る」

などの衛生管理ルーツを遵守します。

 (注意)上記の症状がなくても、一定数の「無症状病原体保有者」がいます。乗り合せで登山口に向かうことは非常に危険です。

バス、電車などの公共交通機関を使って登山口に向かう

×

不特定多数の人が閉鎖空間に集まる状況が発生する場合があります。つり革や椅子などからの接触感染もあります。危険です。

公共交通機関は利用しないでください。

マイカーを使い、単独または各人バラバラで登山口に向かう

感染リスクは低いです。

登山口で集合してから後の行動に注意が必要です。 

登山口への行き帰りの途中でコンビニ、スーパー、道の駅などに立ち寄る

×

コンビニ、スーパー、道の駅などでは感染リスクがあります。危険です。

登山に必要な食料や水分は、生活必需品と一緒に買っておきましょう。買い物の回数を減らしましょう。

長距離ドライブが必要な遠くの山へ行く

×

遠くの山へ行こうとすると、感染を他の地域に広げる危険性があります。

アプローチの範囲、距離を居住市町村内、半径10km以内など、制限を設定して行動範囲を狭くしましょう。

アプローチの途中にトイレに立ち寄る

×

不特定多数が利用する公衆トイレなどでは、接触感染や尿や便から感染する危険性があります。

自宅でトイレを済ませておきましょう。

登山の帰りに温泉に立ち寄る

×

温泉施設内は3密の状態が発生する危険性があります。接触感染もあります。危険です。

温泉入浴は控えてください。

複数人で一つの車、テントに泊まる

×

非常に危険です。

一人一人で別々に宿泊してください。

登山中(登山口~登山コース~登山口)での感染リスク

単独での登山

感染リスクは低いです。

 

複数人での登山

単独での登山に比べて感染リスクが高まり、危険です。

息が荒い状態は、咳、くしゃみをするのと同じです。

参加者は最小限に絞り(単独がベスト)、登山中は「マスク・手袋着用」、「社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)を保つ」、「大きな声で喋らない」など感染対策ルールを守りましょう。

百名山などの人気の山に登る

×

登山客が多く、感染機会が多くなります。危険です。

人の少ないマイナーで穴場的な山、コースへ行きましょう。

山が混雑する時間帯を避け(例えば、夜間に登る)ることで、人との接触機会を減らす。

人気のない静かな(人の来ない)山、コースがお勧めです。

マイナーで穴場的な山、コース

人気のない静かな(人がまったく来ない場所が理想)山、コースでの感染リスクは低いです。

 

山小屋や宿で宿泊する

×

不特定多数の人が閉鎖空間に集まる3密状況が発生する可能性があり、接触感染もあります。危険です。

宿泊を伴うハードな山は事故リスクなどが高まり危険です。日帰り登山がお勧めです。

テント泊

複数人で一つのテントに泊まることは非常に危険です。

単独または一人一張りなら感染リスクは低いです。ただし、宿泊を伴うハードな山は事故リスクが高いので危険です。日帰り登山がお勧めです。

バリエーション登山

(雪山、バックカントリースキー、ライミング、沢登り、藪こぎなど)

人出が少ないと思われるので感染リスクは低いです。

ただし、怪我などの事故を起こすリスクが高く、救助隊、医療機関に負担をかけることになります。また、病院での感染リスクも高いことから、高リスクな登山は控えてください。

事故リスクの低い、整備されたハイキングコースや登山道のある山がお勧めです。

整備されたハイキングコースや登山道のある山

整備の良いコースなら事故のリスクは低いです。

人気のない静かな(人の来ない)コース、山がお勧めです。 

階段の手すり、鎖場の鎖やロープなどに触れる

×

他の登山客が触りそうな、階段の手すり、鎖場の鎖やロープ、休憩施設の器具などに触れるのは接触感染のリスクがあります。危険です。

手袋をする。接触感染リスクのある器具には触れないようにする。太陽からの紫外線で新型コロナウイルスが短時間で不活化されますが、例えば、手すりの裏側など、日陰の部分には長い間ウイルスが残っている可能性があります。

病原体が付着している可能性のあるものは家に持ち込まない、すぐに除菌、洗濯する。

靴に付着した新型コロナウイルスから感染が広がったという報告があります。登山靴の扱いにも注意しましょう。

 

感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)

以下に、発生段階を第三段階とした場合の「感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)」の一例を示します。登山計画立案時の参考としてください。

感染症の流行状況、流行している感染症の特性に応じて、「登山における感染リスク一覧表」を参考に制約、条件を調整してから利用ください。

1.マイカーを使い、単独または各人バラバラで登山口に向かう(単独をお勧めします)

2.登山口までの行き帰り途中でコンビニ、スーパー、公衆トイレ、温泉などの施設には絶対に立ち寄らない

3.登山口が自分の生活圏内や自宅から半径○○km以内など移動距離の短い近い山

4.単独か参加者を最小限に絞り(単独をお勧めします)、山が混雑する時間帯を避ける

5.登山中は「マスク着用」「社会的距離の保持」「大きな声で喋らない」などの感染症対策ルールを守る

6.日帰り登山(行動時間をできるだけ短かくしましょう)

7.人の来ないマイナー(人がいない場所をお勧めします)で、かつ整備されたコース、登山道のある山

 

「こんな制約、条件に合う山ってあるの?」って??

探してください(笑)(笑)(笑)

地図とニラメッコするのも楽しいですよ。自分だけの秘密の山、ルートを見つけましょう。

山をお持ちの地主さんが、自分の家の裏山を歩くのは良いのではないでしょうか?

とにかく今は、

ステイホーム

です。

人間には環境に合わせて生きていける柔軟性が備わっています。どのように感染症と付き合っていくか、皆で知恵を絞り、一緒に考えていきましょう。

近い将来、大好きな山に好きな時に大好きな仲間と好きなだけ行ける日が来ることを祈念いたします!!

 

この記事の間違いを発見された方、ご意見がある方は、お問い合わせよりご連絡いただければ幸いです。

感染症流行期の登山ガイドライン(新型コロナウイルス編)は如何でしたか?

それでも山に登りますか??

(*注意*)この記事は感染症流行期の登山を推奨するものではありません。

よくお読みになり、感染症発生段階に合わせた、責任ある行動(停滞?)をお願いします。

 

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