アウトドアの小技:若干のヤマビル文献と先駆作品に感謝

カテゴリ:山の危機管理

投稿日:2021/11/22

投稿者:少々

若干のヤマビル文献と先駆作品に感謝

最近では、先人と違うことをすることを自分の個性と思う人が多い気がします。先ず礎を築き継承の手間を省いてはならないと思います。

さて、私が山歩きを始めた2000年代初め頃、ヤマビル文献を探してみました。その頃は、コンピュータも一般的でなく、キーワードでは検索は出来ず、日本書籍総目録が流通図書の網羅的目録、毎年発行物で出版年鑑がありました。後は主題別の目録で動物学の項を参照するぐらい、各地域の調査報告ぐらいが出てくるぐらいでした。ヤマビルのような特殊な主題は、地方出版物で出ているかもしれないと当時、出版されていた地方・小出版出版流通センターの「あなたはこの本を知っていますか」地方・小出版センター書肆アクセス図書目録の全ページ、目を通すと(今、この目録を探してみると1997年代の目録、所蔵してないので記憶違いかもしれません。あるいは図書館で参照したかも知れません)「秋田の吸血動物ヤマビル」永田賢之助著 秋田魁新報社 1997.4 (あきたさきがけブック No.24 生物シリーズ1が出てきました。総ページ64ページ A5版の小冊子です。自分で購入して図書館に寄贈したのか記憶にありませんでしたが、今回借りて見ると寄贈でした。この本は秋田の事例を主に紹介していますが、一般的な知見も記載されており、今に至るまでこの本が自分のヤマビル知識です。

記憶に残ったことをちょっと列記すれば、

水を与えないと数時間で干からびてしまう。普段は落ち葉の裏とか石ころの隙間の下に縮こまっている。傷口が塞がらないようヒルジンという血液の凝固を妨げる成分を注入する。吸いつかれた側は出血が止まらないばかりか、以後ずうっと痛い痒い後遺症に悩まされる事になる。活動始めの温度は、摂氏13度。ヒルに血を吸われるとヒルの抗体ができ、吸ったヒルは死んでしまう。

再読して(この他にもいろいろありますが、その後の研究成果はどうなっているのだろうと思っています。)

忌避剤は、ヒルの嫌いな成分に過ぎないから過信してはならない。一回吹きつけても、たいがい20分以内で効果が失せるし、大型のヒルには効き目がないことも知っていてもらいたい。

 

本の総合カタログBooks 出版書誌データベース https://www.books.or.jp

は今、出版されている入手可能なデータベースですが、これで検索すると

9点ほど出てきます。あまり参考にならなそうなものを省くと

 

・ヒルは木から落ちてこない。―ぼくたちのヤマビル研究記  樋口大良、子どもヤマビル研究会著 山と渓谷社 2021.8  [未見]

・衛生動物の事典 津田良夫、安居院宣昭、谷川力編 朝倉書店 2020.5  [未見]

・前述、「秋田の吸血動物ヤマビル」永田賢之助著 秋田魁新報社 1997.4

初版から何刷されているか興味あります。現在でも入手可。著者は、元中学教師で、東京慈恵医科大学医学部 吉葉繁雄教授(当時、数少ないヤマビル研究者で生物公害(バイオハザード)の権威)の指導を受けておられる。被害に重点を置いておられ、やはりオゾマシイと思われているようなので、純粋な知的好奇心による探求を追求しきれてない感があります。

その他

○やまびる図鑑 ヤマビル研究会 環境文化創造研究所発行  2020.8  24p   [未見]

○野外毒本 −被害実例から知る日本の危険生物− 羽根田治 山と渓谷社 2004.8  ヤマビルの項目8082p

同社のヤマケイ文庫で再刊されています。

○山のトラブル体験マニュアル 中井正則 山と渓谷社 1998.12 6366p

ハナビルについて始めて知りました。ハナビルの幼ヒルは極めて危険で水の中におり、沢水を飲んだりする時、鼻や喉に取り付き寄生する。

・野外の危険生物に関する図鑑などは何種類かでています。

後は、国立国会図書館のサイトhttps://www.ndl.go.jpを検索すると入手困難ですが、報告や雑誌論文がかなり出てきます。

・ヤマビル研究会 http://www.tele.co.jp/ui/leech/index.htm

・「山たまごの東海岳行」さんのサイトには「ヒルがイル」と「ヒルを知ル」のコーナーがあります。http://tokaigakko.sakura.ne.jp/page-hiru.html

 

※「ヒルは木から落ちてこない」の著者、子ども研究会さんは大変頼もしいです。未読ですが、内容はヤマケイオンラインで一部掲載されていました。前掲「秋田の吸血動物ヤマビル」にもヤマビルは木に登ると書かれていますが、全然頭に残りませんでした。木に登ると身動きできないではないかというのが理由でした。唯、自分の経験から綿向山に2000731日行った時、ガスっており、銀名水の上の登山道、多分標高1000mあたりだと思いますが、不図、指先を見るとヤマビルが動いている。登山道脇は丈高い笹ヤブだが、登山道はかなり広いので間隔があり触れることはない。下からにしては指先なので、木から落ちてくることもありうると思いました。この著の結論は納得できますが、何かの目的で木に登ることはないか? また激ヤブではどうか? 木に登らせたらどうなるか?など疑問はつきません。ヒルは次から次へと疑問が湧き出してきます。これまたガスっている北海道の山の山頂でヒルが集まってきました。北海道のヒルは血を吸わないということですが、人の息か何かで集まってきたなら、集まるのが先で血を吸うのが後なのだ、有機物に集まってくるのだろうと推測の種はつきません。但し、関わりたくないので推測を楽しむのみです。それ故、ヤマビルに抵抗のない子どもたちには益々期待を寄せる次第です。

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